脳ドック検査でわかること

※ 当センターの脳ドックコースは、日本人間ドック学会が作成した「脳ドックのガイドライン2008【改訂・第3版】」に準拠しています。

なぜ【脳ドック】を受診するのか?

脳卒中とは脳血管の破綻(詰まる・切れる・破ける)によって、手足の麻痺や言語障害などの神経学的異常を来した状態を指し、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などが含まれます。脳卒中は我が国の死亡原因の第三位で、要介護者となる原因の4割を占めており、脳卒中医療の向上は急務です。とりわけ重要なことは予防することであり、そのために画像検査と血液検査を組み合わせることにより将来起こりうる脳卒中を予見し、予防することが脳ドック最大の目的と言えます。また症状のない初期病変が発見されることもあります。

脳ドックで行われる画像検査はMRI(脳の断層撮影)とMRA(脳の血管検査)です。またMRI / MRA以外にも動脈硬化の判定のための検査法として、「頚動脈超音波検査」や「血圧脈波検査」のオプション検査も用意しておりますので、動脈硬化を総合的に判定するためにも、これらの検査を組み合わせることをお勧めいたします。

脳の血管検査
脳の断層撮影

MRIでみられる異常所見

MRIで見られる異常所見のうち、特に頻度が高く、かつ重要なものは大脳白質病変と無症候性脳梗塞です。またT2*(ティーツースター)という撮像法では無症候性微小脳出血が検出されることがあります。

大脳白質病変

大脳白質病変

多くの場合加齢変化の範囲内とされ、必ずしも病的所見ではありません。ただし病変が高度の場合にはその背景に高血圧や動脈硬化が存在し、将来脳卒中を発症する危険が高くなると判断されますので、血圧を厳重に管理することで病変の進行を抑えることが重要です。

無症候性脳梗塞

無症候性脳梗塞

画像上脳梗塞と思われる変化があり、その病巣に該当する神経症候、自覚症状を過去にも現在にも本人や家族が気付いていない場合を指します。最近よくいわれる『かくれ脳梗塞』がこれに該当します。無症候性脳梗塞が存在する場合、将来脳卒中を発症する危険が高く、さらに認知症の発症率も2倍以上になるといわれております。大脳白質病変と同じく、その発現、進行に最も関与するのが高血圧です。従って血圧の厳重な管理が必要です。

無症候性脳出血

T2*(ティーツースター)強調画像という検査項目が新たに加わりました。この検査により無症候性微小脳出血が検出されることがあります。微小脳出血は脳卒中のうち脳出血の危険因子であると考えられており、やはり血圧の管理が重要です。また下記に示すような抗血小板療法(薬物により血小板の働きを抑え、血栓を予防する治療)を行う際に、より慎重になる必要があります。

MRAでみられる異常所見

MRAでみられる異常所見のうち、特に重要なものは未破裂脳動脈瘤と頭蓋内動脈狭窄です。

未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤

脳動脈瘤と呼ばれる血管のコブが破裂し出血するとクモ膜下出血を生じ、高い死亡率、後遺症発生率をもたらします。破裂していない動脈瘤を未破裂脳動脈瘤と呼び、ほとんどの場合無症状ですが、3mm以上の大きさがあればMRAで発見が可能と言われています。未破裂脳動脈瘤の治療にはある程度の危険を伴うため治療の対象となるわけではありません。経過観察とするか治療に踏み切るかは動脈瘤の型や大きさに加えて、年齢、基礎疾患の有無などにより判断されます。大きさが5mm以上のもの、型が不整なもの、家族歴のあるもの、動脈瘤が2つ以上ある場合などが治療の対象となり得ます。現在行われている主な治療法は開頭手術と血管内手術(コイル塞栓術)です。どちらの治療法が選択されるかは、動脈瘤の部位、性状や患者様の状態などによって決定されます。

頭蓋内動脈狭窄

頭蓋内動脈狭窄

MRAで頭蓋内動脈狭窄がみられた場合、将来脳梗塞を発症する危険が高いと考えられるため、症例によっては抗血小板療法(薬物により血小板の働きを抑え、血栓を予防する治療)の対象となります。ただし抗血小板療法は出血の危険を高めるため、投与にあたっては専門医による慎重な判断が必要です。

脳卒中の危険因子

脳卒中の発症に関与するもっとも重大な危険因子は高血圧です。血圧が高くてもほとんどの場合無症状ですので、血圧の管理はまずご自身の正確な血圧を知ることから始まります。そのためには可能な限り毎日同じ時間、特に朝食を摂る前に測定する必要があります。病院や施設を訪問したときに測るだけでは正確な血圧を知ることはできません。
朝起きたらトイレを済ませ、椅子に腰掛けた状態で数分間安静にし、肘より上の上腕で測定しましょう。手首や指先の測定は不正確です。

脳卒中を予防するためには上の血圧(収縮期血圧)が140未満、下の血圧(拡張期血圧)が90未満であることが望ましいと言われています。これ以上の数値がしばしばみられる場合は医師にご相談下さい。

他に糖尿病、脂質異常症も脳卒中の危険因子です。これらは減塩、適度な運動、カロリー制限など生活習慣の見直しによりある程度の改善が見込まれますが、それでも不十分な場合には薬物療法が必要となります。

また心疾患のうち、心房細動という不整脈があると、心臓内にできた血栓(血のかたまり)がはがれて血流に乗り、脳の血管に詰まることで心原性脳梗塞を生じることがあります。
このような場合、梗塞の範囲が広く、またしばしば出血を伴うため重症化します。心臓内の血栓形成を予防するために抗凝固療法が必要となることがありますので、循環器専門医にご相談下さい。

さらに禁煙や飲酒を制限することも脳卒中予防には有効です。特に喫煙により脳卒中の発症率は2倍以上になります。ただし禁煙することで5年後には脳卒中発症のリスクが非喫煙者と同等になると考えられており、このため禁煙は最も低コストで即効性のある脳卒中予防法といわれます。

受診されたあと

脳ドックで異常を指摘された場合、直ちに治療が必要となることはむしろまれですが、万が一、早期の治療が必要な疾患が発見されたときにはしかるべき施設をご紹介します。また画像による追跡や経過観察が必要な場合には当院脳神経外科外来で対応いたします。

検査結果にご不明な点がある場合、また異常がなくても詳しい内容をお聞きになりたい場合には、予防医学センターで面談の上ご説明いたしますので、遠慮なくお申し出下さい。
受診するだけで満足せず、結果をよくご理解いただいた上で生活習慣の改善などを図り、将来の脳卒中の予防に役立てていただければ幸いです。

検査を受けるには?

脳ドックは「野村予防医学センター」にて行っております。
※ 脳ドックはご予約が必要です。

脳ドックの詳しい情報、ご予約方法については、下記ボタンよりご確認いただけます。

トピックス一覧