関係機関との協推進と働きがいのある病院づくりを病院長 佐藤文哉

野村病院 病院長 佐藤 文哉
病院長 佐藤文哉

 野村病院が創立70周年を迎えたことを、職員の皆様と共にお祝いしたいと思います。
 創立以来、当院は地域に欠かせない医療機関として、常に新機軸を取り入れながら成長を続けてきました。その革新性と医療に対する信念を、私たちは誇りに思うと同時に、将来に向けた指針にすべきであると思います。
 私は2016年に野村病院に入職しました。70年の歴史に比べると短い期間ではありますが、この間にもさまざまな出来事がありました。その最たるものが新型コロナウイルスのパンデミックです。当初は、すべてが行政指導のもとで進められ、検査一つ自由にできませんでした。その後、さまざまな経緯を経て、今では検査だけでなくワクチン接種や治療薬の処方も民間病院で行うことができるようになりました。
 この間に学んだことは数多くあり、極めて貴重な教訓になったと思います。我々医療従事者に求められることは、これまでの出来事を単なる記憶にとどめるだけでなく、パンデミックや災害が起きたとき、患者さんの受け入れ体制などで後手に回らないよう、BCP をしっかり構築することです。現在、そのための作業を鋭意進めているところです。
 コロナ禍によって外出を控えざるを得なくなった高齢者の方々の中には、足腰が弱くなったり、認知症を発症する人が少なくありません。そのせいもあって、コロナ禍が落ち着いた2024年以降、高齢者救急の需要が急増しています。それに対処するため、当院では24時間体制で救急患者を受け入れています。そのための人員の確保は簡単ではありませんが、地域の医療を担う病院として、可能な限り要請を受け入れています。
 ただ、これらは野村病院単独ではなく、地域全体での対応が不可欠です。三鷹地区には、杏林大学病院と武蔵野赤十字病院という2つの高度急性期医療を担う病院があり、当院はこれらの病院と連携しながら、二次救急医療を担っています。また、地域の開業医や訪問看護ステーション、地域包括支援センターの方々と一体となった対応も欠かせません。医療を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中、今後も地域に根ざし、地域と共に歩む医療機関としての責任を全うしていくために、自分たちはどうあるべきかを全職員がより真剣に考えていく必要があると思います。
 一方で、医療従事者のワークエンゲージメントを高めていくための取り組みも必須です。昨今、一般企業の従業員だけでなく医療従事者の働き方改革にも注目が集まっています。そのことと、人の命や健康を預かる職業としての使命感とのバランスをいかにとっていくかが大きな課題となっています。特に今の若い世代は、ワークライフバランスを重視する傾向にあり、医療従事者としての 使命感や責任を強調するだけでは納得感が得られません。彼らにやりがいを持って仕事をしてもらうためにどうすればいいかを、真剣に考えていく必要があります。
 創立70周年を迎えた野村病院が、地域の中で一層存在感を増し、職員のエンゲージメントも高い病院となるよう、今後も尽力していく所存です。

※『地域と共に歩む野村病院』-創立70周年の先を目指して-からの転載