
〜いつまでも美味しく食べる喜びを〜
野村病院の口腔ケアプロジェクトの活動
野村病院と日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが連携して取り組んでいる高齢入院患者口腔スクリーニングを始めとするプロジェクトの活動内容をご紹介します。
どうして口腔ケアが必要なのか
口の健康は人が生きていく上で欠かせない「食べる」「話す」「呼吸する」などの機能に大きく関与しており、【健康長寿のカギ】とされています。 そうしたことから、私たちは入院した患者様に対して、日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックと連携した口腔スクリーニングを平成25年8月から実施してきました。 |
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このプロジェクトは、
@入院患者様の口腔内を健康にすることで体力の回復を促す
A医療の質を向上させる
B地域の歯科診療所と連携して退院後も口腔ケアを継続できるシステムをつくる
これらを目的として活動しています。
チームによる口腔ケアへの取り組み
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平成26年4月からは入院患者様に対する摂食嚥下の支援向上を目的とした「口腔ケアプロジェクト」を立ち上げ、多職種協働で効率的に安全で質の高いケアを提供する体制作りに取り組んでいます。 プロジェクトは、財団本部、医事課、看護部、リハビリテーション科、栄養科、情報システム課で構成され、それぞれの職種で役割を持って活動しています。 |
これまで、以下のような活動内容を行ってきました。
・病棟スタッフへ口腔ケアや食事援助方法の教育
・地域住民対象として勉強会
・診療報酬改定に伴う胃瘻増設と嚥下内視鏡検査実施のプロセス確認と同意手順の構築
・高齢者にも理解しやすい口腔スクリーニング同意書・説明文の策定
口腔ケアプロジェクトの実績(H25.8〜H26.12)
@口腔ケアのスクリーニング対象者となる入院患者様のうち、約3割の方に口腔スクリーニングを実施
A言語聴覚士が介入している摂食・嚥下障害のある患者様では、入院時と比較して退院後の摂食嚥下改善度がプラスになる
B地域の歯科診療所への逆紹介率は13.3%
C退院後受診率(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが継続治療したものも含む)は15.9%
これからの課題
プロジェクトにより野村病院で摂食嚥下支援を取り組むチームが出来ました。在宅で摂食機能療法の継続が可能となったことは、患者様や介護する家族にとっても大きなメリットだと思います。
今後、口腔ケアプロジェクトが継続的な活動を行うために
@口腔スクリーニング実施率の向上
A職員のケア技術の向上
B水分・栄養が不足している方への対応
C検証用のデータベース構築
D地域との連携強化
など、改善する課題は多く残されています。
患者様に有効な支援方法を構築するためには、多職種間で「具体的な数値目標」や「共通言語(データ)」を共有し協働していくことが重要です。多職種が協力して取り組むことで、入院中から在宅での口腔ケア・摂食嚥下支援の連携ケースを増やし、地域の皆様に安心して生活していただける口腔ケア支援を行っていきます。
私たちは「飲んだり食べたりする喜びを支援する病院」を目指していきます。